飛び石ジャンプ

辛い日々も飛び石のひとつ。よく遊び、考え、暮らしを愛でる日々のブログです。

子なし既婚者、転職で感じたこと雑記

2年間の教員生活、約3年の地方公務員生活を経て民間企業への転職をしました。

30手前の既婚者、子なし女です。

「公務員から民間へ」というとセットになるのが「挑戦」という言葉。

当然、転職先の企業の色や、自分が持っているスキルによって転職のしやすさなどは違うと思いますが、現状での覚書をば。

あと1ヵ月で退職し、2月頭から新天地で頑張る予定です。

 

 

 

タイミング

 遅かれ早かれ、いつかは地元の近くに帰りたい(実家から800km離れています)と考えていたので、経験値を積んだ30代手前、あと3~5年くらいで転職するかなーと漠然と構えていた。

 ただし、そこには大きな不安が一つ。

 妊活もしくは保活と、転職活動がバッティングすることになるであろうということ。

 いつかは子を持つとして、長期的に夫婦別居して、ある程度の年齢までどちらかが一人で育てる?それとも経験値を積むまで別居?してからの妊活?など考えていたのだが、人生の傍らに仕事を置いておくことをベースに考えたいと思ったので、先に解決すべきは仕事だろう、と結論を出した。

 夫の仕事のタイミングとも合致したので、思っていたよりも早かったがこのタイミングでの転職を決めた。11月頭から本格的に活動をスタート。

 

 書類が通らない!

 これまでは採用試験を経て就職していたので、いわゆる「就活」は人生初めてであった。

 職務経歴書や転職エージェントの活用は以下の本を参考にした。併せて、『転職と副業のかけ算』を執筆しているmotoさんのnote、voicyはバイブルとなった。 

転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方

転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方

  • 作者:moto
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2019/08/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

  上記を参考にしながら、転職サイト6社に登録し、その全てでエージェントサービスを依頼した。エージェントサービスは、キャリアアドバイザーが担当としてサポートし、求人を紹介したり面接や提出書類のフィードバックを無料でしてくれるサービスである。転職サイト経由で採用が決まると、年収のうち数パーセントが、企業から転職サイトを運営する会社にインセンティブとして支払われる仕組みである。つまり、採用につながらなさそうな人には人材紹介会社も本気になってくれない。

 

 薄々予想はしていたのだが、エージェントが付いたのは6社中2社であった。

 残り4社に「どうにかサポートしてもらえないか」と連絡したところ、「あなたに紹介できる求人はないから、エージェントはつかない」と言われた。

 エージェントを付けてくれた2社のうち1社はIT企業に絞ったサービスであった。初めて民間に転職する上で、広く求人を見せてほしかったので、結局ほとんど使わなかった。

 個人的にはかなり戦略的に職務経歴書を書いたが、約40社応募した企業の内、面接につながったのは、たった3社だった。

 

 エージェントからは、「書類選考に進めるのは1~2割だと思ってください」と事前に言われていた。

 しかし、職務経歴書はかなり考えて書いていたので、「ノリで応募して当然落ちる人もいるだろうし、まあ4~5割は通るっしょ」と楽観的に考えていた。それが、1割以下。

 

「人材」として評価されることへの恐怖

 結果として、40社受けて3社面接に進み、1次面接で落ちたのが1社、2次選考まで進んだのが1社、内定に繋がったのが1社である。

 その内定をもらった会社への転職を決めた。

 

 地方ではあるが国立の四年制大学を卒業し、ブランクなく働いており、コミュニケーション能力には平均より上という自己評価があった、はずなのだが。

 企業とのミスマッチ?やはり経験値も知識も不足している、のはわかっているけど。

 公務員は人的価値を低くみられるというから、そのせいか?

 それとも、子なし30手前既婚女性だからか?すぐに産休・育休取られると見られたのか?

 

 これまでももちろん面接などで価値観や能力をジャッジされることはあったが、採用試験というわかりやすい基準があったので、頑張れば頑張るほど点につながるし、結果が出なければ「対策不足だったのだろう」とある程度は納得ができた。

 それが、総合的に「人材」として評価をされれば、「何がだめだったのか」さっぱりわからない。

 案に構えて「半分くらい通るだろ~」と思っていたのもあるが、約40社から「いらない」と言われると落ち込んだ。これを20代前半の新卒採用の時に多くの人が経験しているということに、改めて驚く。

 

 ただ、個人的には、内定が取れないことに落ち込みはしたものの、人格全てを否定されるような、絶望的な気持ちにはならなかった。家の中にパートナーがいて、二人の人生として捉えて二人で何度も話し合って活動を進めていたし、仕事面で求められる能力的な意味の「価値」と、総合的なライフとしての価値は同じものではないと理解できるほどに社会人としての年数も積んでいた。

 

人格を否定してきたのは、「お祈りメール」より身近な人の「ご指導」

  

 活動状況を知らない親戚から、「あなたの学歴や職歴なら、話し方次第でどうにでもなります」と言われた。根拠のない励ましというものがここまで腹立たしいものだと初めて知った。

 

 相当時間かけて、考えて資料作りましたよ。話し方次第、って、そもそも話をするステージに乗せてもらえてないんですよ。

 「若いんですから、大丈夫ですよ」「男性の方が転職は大変なんですよ」

 

 そうなんですか?確かに若いほうが年齢的にポテンシャルはあるかもしれませんが、経験もやはり少ないんですよ。

 それに、職歴をにぎやかにしていることに多少の劣等感もありますよ、戦略的に考えていく余地がある部分ですがね。

 男性の方が大変ってソースは何ですか。もしかして、女性が正規職員になること自体少なかったころの話をしてるんですか?

 また、転職について二人で決めたことを説明した時、「夫が~な状況なのにあなたは○○するのか」と言われたこともあった。

 

 面接のステージになかなか乗れなかったことに加えて、身近な人からの「妻なんだから」「嫁なんだから」とご指導されるのは、パートナーとの関係や、私個人の総合的な人格を否定されているように思えて、かなり堪えた。

 

 私はたまたま子どもを持つ前に転職をする、という選択肢があったが、もしも早いうちに子宝に恵まれていれば、選択は違っただろう。現に就活と保活を同時にしている女性が苦悩している現実もある。

 また、出産や育児をしている期間は、人材価値としては依然としてネガティブに働いていると思う。(どんな選択をしても、またしなくても皆それぞれに幸福であり不幸でもあると思うのだが)知ったような顔で親切に助言をしてくる人はどこにでもいるだろう。きっと子を持っても持たなくてもそれは変わらない。

 

 そして何よりも衝撃的だったのが、仕事の面においては、依然として夫が第一で妻は二の次、というのが世の中の常識であることを肌で感じたことである。

 知らなかったわけではないのだが、初めて「妻なんだから」と実際に言われ、素直に面食らってしまった。勤労も納税も国民の義務だぞ。

 

 ちなみに、「妻なんだから論」を聞いた後、「夫のことをどうでもいいと思っているはずがない。あなたの気持ちとは違うかもしれないけれど、私たち夫婦は二人で決断したし、納得し合っている。悪いが納得いただけないか」と反論してしまった。

 結果「言い過ぎたわね」と謝ってくれた。彼女だって、憶測でものを言ったり、性役割を押し付けないよう日頃から気を付けている人だ。

 

  私自身、(相手にとって)何気ない一言で動じない程度には心臓に毛を生やしたい所存であるが、一つ決めたことがある。

 それは、その場を収めるためだけに「夫が一番ですよねぇ」「女なのに○○してすみません」など、思ってもいないことを言わないことだ。

 というのも、相手を納得させるためにわざとらしく「折れて」みせようとしてしまったことが何度もあったからだ。自分で自分の尊厳は絶対に傷つけない。

 

市場の中の「人的価値」を意識する

 今回就職活動をして、「こんな経験があるけど、相手がそれを喜んでくれるか」手探りだと感じた。

 だが、考えてもみれば、普段から市場や業界の動向を気にしながら、自分が成果を上げるよう意識していれば、今回感じた「手探り感」はないはずである。

 これまでも、力を抜いて効率よく仕事をすることばかり考えて、成果への拘りは薄かったように思う。短期的に見れば「年収以下」の仕事をしていれば、報酬に対して「楽に」稼ぐことはできるが、それ以上の成長が望めない。

 

 年収は後から付いてくる。年収以上の成果に拘ろう。

 

嬉しかった上司の反応

 精神的にも追い込まれて、しばらく昼休みにウィダーをすする生活が続いていた。面接や準備のために有給を使うことも増えていたので、体調が悪そう×休みがち=おめでただと思われていたらしい。そんな部下から「報告があります」と別室に呼ばれ、「退職を決めまして」と言われた上司は、「えええええ~?!」と天を仰いでいた。

 申し訳ないと思いながらちょっと笑ってしまった。そりゃ、明るい話かと思ったら悪い話ですもんね…。

 

 「残念だけど、次のキャリアを応援しているからね」と言ってくれた。

 「よく気が付いて気を配れる部分を評価していたので、次の仕事では人を育てる立場にもなってほしい、マネジメントをする立場として育ってほしい」とのお言葉を貰った。

 

 今いるこの場所は、パートナーと過ごすことの幸せを教えてくれ、社会人の礎を育ててくれた場所であり、縁もゆかりもない自分を受け入れてくれた大切な場所である。

 期間は短いが、課題を見極めて、できる限りのことを年収レベル以上で残していきたいと思っている。